ここでは、相続不動産の売却を成功させるためのコツを紹介しています。
プロのアドバイスを伺うために、相続不動産専門の売却サービスを展開している横浜の不動産会社「ハッピーハウス」の真山社長にインタビュー。相続不動産の売却事例を元に、注意点などをお伺いしました。
相続不動産の売却と普通の不動産売却で一番違うのは、”売却するご本人が売りたい不動産についてよく分かっていないことが多い”という点です。ほとんどの場合、ご自身で取得した土地ではなく、ご両親や御祖父母様、ご親戚などが取得した土地や物件のため、不動産の取得時に関わっていらっしゃらないんですね。
まずは、権利書や不動産売買契約書、取得時の領収書、隣人との覚書など、不動産に関する書類が残っているかどうかを確認することが大切です。不動産を取得した経緯やトラブルの有無などをできる限り把握することが、スムーズに売却を進めることにつながります。
「なぜ、売却するのですか?売却以外の可能性(方法)はありませんか?」と聞いてくれるかどうか。
不動産業者は、仲介手数料が得られるので当然売却をすすめてきます。例えば、車のセールスマンに車を買った方が良いですか?と聞いているようなものです。もちろん、買って下さい!と言いますよね(笑)
相続不動産の活用手段として、不動産売却は最終手段。だからこそ、売却以外の活用方法もしっかり検討した上で、売却を提案してくれる業者が良い業者と言えるんです。
昨年(※2021年4月時点)の話になりますが、相続不動産の売却をご希望されていたお客様の物件は、3年後に新路線の開業が予定されていたエリアにあり、まだまだ相場が上がる物件でした。
どうせ売却をするなら3年後の方が明らかに得です。かといって3年間放っておいては、維持費と税金ばかりがかかってしまう。そこで、退去時の原状回復不要・ペット可といった借りやすい条件を設定して3年間の定期借家の賃借人を募集し、無事に入居者を見つけることができました。
定借なので3年後には必ず入居者が退去します。当面は賃料を頂き、3年後に入居者が退去した際に売却するかどうかを改めて検討してはどうか?とご提案し、税金対策をしながら高く売れる時期を待つことにしました。
相続税が発生しないのであれば、相続の前後にこだわる必要はありません。むしろ対象不動産の不動産売却相場や、譲渡における特別控除*の適用可否等を考慮して、売却のタイミングを図ってください。
もし相続税が発生するのであれば、相続前に、事前売却・生前贈与・資産の組替えなど、総合的な相続税対策の中で早急な売却が必要となることがあります。
【*被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの
特例とは】
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。
先ほど申し上げたように、相続税がかからない場合は売却する時間に比較的余裕があります。その場合には、しっかりとマーケティング戦略を立ててください。対象不動産の価値をきちんと分かってくれる買い手を探し出すことによって、高値で売却できる可能性が高くなります。
売却予定の不動産を使用していないのあれば、建物の解体・残地物の撤去・ハウスクリーニングやホームステージング(売却予定のマンションなどを家具や照明、小物などで飾ったり、不要なものを片づけたりして魅力的に演出する)などで、物件の見栄えをよくすることもできます。
不動産業者のほとんどは、自社の公式HPをはじめ大手不動産総合ポータルサイトで物件紹介をしています。印象の良い写真を載せることができれば、早期高値売却の可能性が高まるでしょう。
その物件を購入したいと思うお客様はどんな方々なのか? お客様をターゲティングするといいと思います。例えば弊社ではこんな風にチラシを作り分けています。
こちらは、築年数は経っているものの、駅近で平坦な場所にある物件でした。同じ条件でもそれをどのように伝えるかによって、買い手の受け取り方はまったく違います。より魅力を感じてもらえるように、想定される買い手によって説明や訴求を変えてご紹介しています。
年配のお客様向けには、とにかく古いけど便利!
平坦なので車椅子OK!と訴求。
新婚夫婦向けには、家賃を払うより安く家が買える
ことを伝え、
スロープなのでバギーにも便利!と訴求。
そもそも不動産の活用には、自己使用、賃貸、売却と大きく3つの方法があります。
相続不動産についても、全ての選択肢をしっかりと検討した上で、どうするかを決めるべきです。ただし、相続不動産では物件に関する情報が少なく、どうしたらいいのかご自身で判断するのが難しいのが実情です。
可能であれば被相続人が生きていらっしゃる間に、相続予定の不動産取得の経緯、契約書等の書類の有無、トラブルの有無等を確認しておいていただきたいです。事前に情報を得ておくことで、相続後の手続き等をスムーズに進めることができるでしょう。
株式会社ハッピーハウス
代表取締役社長 真山 英二様
慶應義塾大学大学院(理学修士)修了。外資系コンサルティング会社にてビジネスコンサルタントとして活躍後、株式会社ハッピーハウスの代表取締役に就任。公益社団法人全日本不動産協会神奈川県本部の理事を務め、神奈川県下の不動産業者の教育を取りまとめる教育研修委員長を歴任。消費者庁、神奈川県、横浜市からの講演依頼を請負う。 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、公認不動産コンサルティングマスター資格を保有。生まれも育ちも横浜の、生っ粋の浜っこ。
ハッピーハウスの公式HPで
相続不動産売却について詳しく見る!